第5回


高橋愛の『歌い方』について、いろいろと例を上げて書いて行こうと思います。徒然に書く形で。


かなり旧聞に属する話も出てきます。去年の春ツアーで高橋愛は「ふるさと」を歌いました。そして、「ふるさと」を歌ったメンバーはもう一人いました。

あの頃は僕もそれなりにサイト巡回をしていたので(笑)、両者の「ふるさと」に対する反応を多少は知っていました。「両方ともいい!」って誉めてくれている方も、もちろんいました。

でもその中で比較的よく目にしたのが、「愛ちゃんの『ふるさと』は、うまいけど独特。もう一人のメンバーのふるさとのほうが、『ふるさと』により近い」的な意見でした。
別に書くまでもない事だけど誤解されると困るので書いておくと、もう一人の『ふるさと』に対して難癖つけてるんじゃないです。あの、胸に手を当てながら心を込めて歌っている姿には本当に癒されました。今日の更新では比較対象として、名前は出しませんが何人か出てきます。あくまで、高橋愛の歌い方を考える上での事で、それ以上の意味はありません。


話を元に戻します。高橋愛の『ふるさと』は、確かにちょっと、いわゆる『ふるさと』のイメージとは違う雰囲気があるかもしれません。「ベストショットDVD」での最初の音源が、既にかなり特徴的な歌い方でした。また、最新の「ハロプロアワー」で歌っている二人を聞き比べても、高橋愛の歌い方は、うまいけど、なんか、ちょっと違う雰囲気を持っています。もう一人の方のほうが、しっとりと歌っている感じがするんじゃないでしょうか。それは、春ツアーでのもう一人のメンバーにしても同様で、やはり、高橋愛よりも「しっとり」と歌っている印象が強いと思います。


話を、去年の秋ツアーの「ラストキッス」に移します。ツアーDVDで高橋愛が歌っている部分と、『オリジナル』とを聞き比べると、高橋愛の歌い方の方が若々しく感じます。『オリジナル』のほうが、やはり「しっとり」した印象です。『オリジナル』の人達があの曲を歌った年齢は、愛ちゃんがツアーで歌った時の年齢よりも若いんじゃないかな?でも愛ちゃんの歌い方の方が、数段若々しく聞こえます。


僕はそれが、ずっと不思議だなと思っていました。


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高橋愛の歌を聞き始めてからほぼ一貫して僕が持っている印象を書くと、彼女はモーニング娘。の曲や、その他ポップス全般を歌う時に、メロディにあまり抑揚や強弱をつけたがらないように思います。もちろん、全く付けない、なんて話じゃないですよ。むしろそれのほうが難しそうだし(笑)。ただ、彼女は、メロディに抑揚や強弱を付けようと思えば、いくらでも付けられる人なんです。それは、ラジオで時々歌う合唱曲や、ミュージカル「HELP!」のソロで歌う所を見れば分かります。合唱部に所属していて、譜読みが出来るなら、その譜面にはややこしい強弱記号や、その他もろもろの指示記号が山ほど付いている筈ですよね。というか、付いてます。


そういう譜面を読めて声に発する事の出来る人が、抑揚や強弱を付けられない、なんて事は無い訳で、事実、上に書いた合唱曲等で見事にメロディに陰影を付けています。「しっとり」とした歌い方というのは、メロディに付ける陰影によって人が感じるもの。

高橋愛は、「しっとり」と歌おうと思えば歌える筈の人なんです。


でも、ポップス等を歌う時には、その陰影を、意識してか無意識にしてかわかりませんが、抑えにかかる場合が多いと思います。さっきから書いているように、高橋愛が陰影をはっきりと付ける歌い方をするのを他で聞いているので、差異が余計に感じられました。どうして普通の曲を歌う時は(いや合唱曲が普通じゃないという意味じゃなく)そうやって歌わないんだろう、って。それがずっと不思議だったんです。合唱曲の歌唱法とポップスの歌唱法は違うでしょうけど、それが「陰影」云々の理由になるとも思えません。


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高橋愛が普通の曲(もう、こう書いてしまいますが)を歌う時、その歌い方が何らかの影響を受けている、というか、R&Bあたりの影響を受けているんだろうな、とはなんとなく思っていました。その気持ちは僕自身が、この数ヶ月、R&BのCDを出来るだけ買って、聞き込んでいくうちに、次第に強くなりました。正直最初は聞いててもなんのこっちゃわからんかったんですが(笑)、繰り返して聞いて、ああ、こうやって聞けばいいのかな、ってだんだん楽しく聞けるようになってくると、高橋愛の歌い方との共通点が見えてくるような気がしました。


ひょっとしてここかな?というのが見つかったので、本当はこの「リズム」の更新の最初の回あたりに書きたかったんです。ただこれに関しては、ある程度客観的な資料が欲しくて、時間の空いた時や休みの日を使って、検索したり書店に行ったりしてました。

で、「こうでいいかな」と思えるくらいには頭の中でまとまったので、自分なりに考えた「高橋愛の歌い方」について、明日の更新で書きます。

一言だけ要点を書くと、彼女はおそらく、『バウンス』を使って歌っています。