第4回
2曲について感想を書きます。
□ 浪漫〜MY DEAR BOY〜
広島と名古屋を見て来て、高橋愛に感じる全体的な感想はやはり「安定感」です。それは「リズム」第3回(id:tombouze:20060421 ←ちゃんと文中先を記しときますねw)で書いたテンポの取り方にしてもそうだし、それ以外にも、ダンスがあまりブレないんです。いや、立ち位置をトチッたりはしてるんですが(笑)、でもダンスそのものに、未熟な不安定さがあまり見受けられません。頭の先から下に突き抜けるように、1本芯が通っている感じ。不必要に頭がフラフラしたり足や手の動きが行き過ぎたりする事がないです。
このあたりは、ツアーも後半になってこなれて来たというのもあるでしょうし、夏のミュージカルに向けて今から練習しているみたいですし。高橋愛個人が、ニューヨークで見たミュージカルに触発されてジャズダンスを習いに行ったみたいですし(ハロプロアワーより)。
ですから、これはもう、練習量の多さが如実にステージに表れているんだと思います。それだけ充実したレッスンを日々こなしているのでしょう。それを実感させてくれる動きを、高橋愛はしていると思います。
でも、『浪漫〜MY DEAR BOY〜』は違うように見えます。第3回で「リズムを外していると感じた曲が数曲ある」と書きましたが、そのうちのひとつが、この曲です。この曲、高橋愛の『スイッチ』が入りやすい曲だと思います。何故入りやすいのかは、また後日の更新で書くつもりです。
この『スイッチ』は常に毎公演入るという訳でもありません。比較的夜公演の方が入りやすいようには思います。昨日の名古屋も、昼と夜で、この曲における高橋愛の動きはまるで違いました。夜は凄かった。
上に書いたような、それまでのリズムやダンスの安定感が、端々で一気に無くなります。リズムは走る。ダンスはブレる。
サビの部分の「さあ行こう LET’S HAVE〜♪」の所で腕を横殴りにする振り付けがありますよね。あれの1回目と2回目で振りの速さが全然違ったりするのです。それは速さを考えて調節しているというよりも、そういう事は考えられずに感情のままに振り殴っている感じです。でも、その、横一閃の腕のスピードが凄まじい。
そして、ラストのイントロが流れ出す瞬間の、咆哮と形相。もう、愛ちゃん、ではないです。
正直、こうなった時の高橋愛を文章で説明するのは無理があると思ってます。彼女は言ってみれば、心に湧き上がる『鬨(とき)の声』をステージに叩き付けているのであって、その『声』が一体どのようなものなのかまでを言葉にする力を、神様は我々に与えてはいません。
ですので、彼女のステージを見た事のない方は是非一度見て頂きたいなと思います。テレビやラジオでボケじゃないと言いながらボケてる(笑)愛ちゃんとは、別の人がそこにいます。
□ なんにも言わずにI LOVE YOU
『浪漫』でスイッチが入った後の、この曲での高橋愛が僕はめちゃくちゃ好きです。
最初のイントロでは、メンバーは(というか愛ちゃんしか見てないから実は分かんないんですけど愛ちゃんがしてるから多分メンバーもしてるのかなと思って)観客に向かって手を振っています。まあ「レス返し」みたいなものなんですが、その時の愛ちゃんの表情が、いや、「が」というか、すら、好きです。何かに満ちている表情、とでも言うのかな。何に満ちているのか。愛になのか、興奮になのか、ちょっとそのあたりはわかんないけど、でもわかんなくてもいいんじゃないかな、とも思ってます、そのあたりは。でも、とにかく好きです。
そしてそこから高橋愛が歌い出す。
「ねえ」
この「ねえ」が、本当に好き。なんだか、色々な気持ちを幾重にも重ねて込めているような気がして。
そして、最後、みんなで「なんにも言わずに〜」と歌う部分での、高橋愛のフェイク。昨日の夜公演では、『浪漫』から続く気持ちの昂ぶりを表すかのように体がいろんな方向に揺れていました。
そして、歌う時の表情。
彼女はこの時、ひょっとしたらフェイクじゃなくてシャウトをしたかったんじゃないかな。
そう思ってしまう程の、気持ちを込めたくて込めたくてたまらない、といった風な、彫りの深い表情を見せてくれました。
曲自体もとてもいい曲ですし、今ツアーのセットリストの中で好き度ではTOP3に入ると思います。