第6回


いきなりですが、


川*’ー’)<ダコダコYeah! ダコダコYo! 


って覚えてますよね(笑)。愛ちゃんが大阪のラジオで作詞して、それをラップっぽく歌った名曲(笑)。

まあ、基本的には終始笑い転げて聞いてたんですけど(笑)、笑いながらも感じてたのが「愛ちゃん、ラップ妙にうまいなあ(笑)」というの。あの場がやたら盛り上がってたのも、愛ちゃんが不思議とハマッてラップをこなしてたからじゃないかな。ラップっぽくないラップだと、歌った時点でそれが「ネタ」になったりするじゃないですか。「お前それラップやないで〜」みたいな(笑)。あの時はそういう流れがなかったんですよね。妙にラップがハマってたから、あれだけ、歌詞の内容だけでストレートに盛り上がったんじゃないかなと思います。

あの頃からかな?僕の頭の中で、もやもや〜っとした「ひょっとして愛ちゃんの歌い方って・・・」みたいな何かが出てきたのが。いや、これは後付けの理由かも(笑)。まあ、そのあたりの細かい事は、いいです(笑)。


この時のラジオを聞き返してみたら、「エミネムにハマってる」的な事を言ってますね、愛ちゃん。エミネムに限らず、愛ちゃんはブラックなノリの曲が基本的に好きな印象があります(最近U2あたりを言い出してますが)。クリスティーナ・アギレラとか聞くとR&Bやヒップホップの影響が散見されます(基本的にはポップシンガーになるのかな)。マシューのベストヒットTVに出た時はディスティニーズ・チャイルドを上げてましたよね。もう昔の話なので今も聞いてるかはわかりませんが、最近「アギレラ好き」っぽい事をラジオで口にしてたので、ならディスティニーズ・チャイルドの路線も好きなままなんじゃないかなと思います(ちょっと路線が違うけど)。R&Bにもいろいろあって、というか十把ひとからげにはできないんですがあえてジャンル分けをすると、愛ちゃんが好きっぽいR&Bは、ヒップホップのリズムにR&Bのノリを被せる『ヒップホップ・ソウル』になるんじゃないかなと思います。1990年代前半から登場して、今のR&Bの主流のひとつになっているジャンルです。


ラジオで「ライブに行ってみたい」と言ってたレッチリレッド・ホット・チリ・ペッパーズ)にしても、彼らの特徴はラップやファンク、パンクを柔軟に取り込んだ『ミクスチャー・ロック』です。やはりそこにはブラックのノリが見て取れます。

愛ちゃんは上に書いたマシューの番組で「なんにも考えずに聞ける」みたいな事を言ってたと思います(一字一句こうではないかも)。それに最近のラジオか雑誌で「最近はちゃんと歌詞も見るようにしてる」みたいな事を言ってたと思います。逆に言うと今まではそれほど歌詞に重点を置いてなかったんでしょう(洋楽の事でしょうね、これは)。


つまり、愛ちゃんはその手の曲を聞く時は基本的に「ノリ」を楽しんでいる、ということになります。愛ちゃんの洋楽好きは今に始まった事ではありません。その「ノリ」が、一般的なポップスを歌う時に出てきてるんじゃないかなと思います。自然となのか、意識してなのかはわかりませんが。

というのは、高橋愛の歌い方って、全般的に『バウンス』しているように感じるからです。


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『バウンス』というのは、ゴスペルあたりから始まるブラック・ミュージックに見られるリズムの取り方です。厳密に音楽用語としての定義はありますが、ブラック・ミュージックで使う時はそこまで細かくなくてもいいみたいです。その名のとおり、バウンドさせる、リズムを跳ねるように打つノリ方です。

高橋愛は、普通の歌を歌う時、随所にこの『バウンス』を入れている。だから、「ふるさと」を歌っても、「ラストキッス」を歌っても、他の人より軽快感や躍動感が出やすいんじゃないかなと思います。リズムが跳ねてる訳ですから。


その『バウンス』がとても良く見て取れる、と僕が感じているのが、「ベストショットDVD」の「ふるさと」です。高橋愛が最初に歌った「ふるさと」。ここで彼女は、とても個性的な歌い方をしています。

(1)歌い終わりで声をパッと切る事が多い。

(2)歌い終わりで声を一瞬裏返らせる。

(3)なんだか英語っぽい発音。

これらがあちこちで見られます。


日本語は「子音+母音」の単純な組み合わせの繰り返しがほとんどなので、子音と母音が不規則に混ざり合う英語と比べると『バウンス』させるのが難しい言語です。そこでなにをするかと言うと、

・歌い終わりに小さい「っ」を入れる感覚で歌う(シンコペーションする)   ←(1)

・「子音+母音」の組み合わせに軽く「足しもの」をして規則性を外す     ←(2)

・英語っぽい発音で不規則性を出す                     ←(3)


こう見ると、「ベストショツト」の「ふるさと」での、高橋愛の意図がよく見えるような気がするんです。僕が持っている、高橋愛が歌った「ふるさと」の音源は3つ。その中で1番「クセ」がある、と思っていた最初の「ふるさと」が、「リズム」の面から捉えると、実は彼女にとって1番「クセ」のない、自分の嗜好に素直な歌い方だったんじゃないかな、と最近では思っています。まあ、上みたいにゴチャゴチャ考えて歌ってはいないと思います。彼女なりに気持ちの込めやすい歌い方、もしくは気持ち良く歌える歌い方を模索して、その結果、ああいう形になったんじゃないかな。


というか、ここまでややこしい事を考えなくても、コンサDVDを見ながら愛ちゃんの歌を「モノマネ」すればわかります(笑)。愛ちゃんの歌っているとおりに歌ってみて、更に他のメンバーでもモノマネしてみれば(笑)、愛ちゃんのリズム取りがかなり独特なのがわかるんじゃないかと思います。


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高橋愛は、ポップス全般を歌う時は上に書いたようなリズム取りをする事が多い。これは、今ツアーで実際にステージを見ても感じた印象でした。

ただ、一曲、この印象から完全に外れた歌い方をする曲があります。『無色透明なままで』です。

というわけで、あさっての金曜日は、コンサートで高橋愛を見た感想を書きます。『無色透明なままで』についての感想です。


では、明日はいよいよ決戦の日なので(笑)。愛ちゃんの選んだほう、勝って欲しいなあ・・・・・。