マコッちゃんは卒業するまでまだ一ヶ月ほどある。
メンバーのメッセージでも、その点が付け加えられる時があった。
そんな中で印象に残っているのが、愛ちゃんがマコッちゃんに言葉をかけている時の事だった。
愛ちゃんが「いつもなんか自分が情けなくなるんだよね」と言った時。
困っている時、悩んでいる時、麻琴は聞いてくれた、アドバイスをくれた、という話をした後、
「いつもなんか自分が情けなくなるんだよね」
と、愛ちゃんが言った時。
「な〜に言ってんだよ」
マコッちゃんのその言い方がすごく早くて、でも自然で、とてもやさしいな、と思って、
それが、なんだかすごいなと思った。
マコッちゃんは、代々木のステージでは花束を持つ立場にいる人だった。
でもあの時マコッちゃんは、愛ちゃんが言った事をその場で証明してみせてくれたような気がした。
「いつもなんか自分が情けなくなるんだよね」という愛ちゃんの言葉を、
花束を持ちながら聞いてくれた。
いつものように聞いてくれたんだ。
そんな気がした。
マコッちゃんは今までもそうやって、
彼女の背中に寄りかかってくる人達を軽やかに支えてくれていたんじゃないかな、と思う。
□  □  □
こんこんとマコッちゃんの2人だけがステージ上にいる時、『こんこんコール』が湧き上がった。
僕の前にはマコッちゃんがいて、向こう側に、こんこんの後姿がある。
『こんこんコール』の時に、ふとマコッちゃんを見た。
彼女はまだ卒業しないけど、コンサートという形は今日で最後。
眩いピンク色の世界の中でそれを思い出して、いきおい、そちらに目が向いた。
マコッちゃんは嬉しそうに、手拍子をしていた。
軽く膝でリズムを取りながら、コールとサイリウムの動きに合わせて手を叩いていた。
全然仰々しいところがなくて、とても自然で、その姿を見たらなんとなくホッとして、
それから心おきなくサイリウムを振る事ができた。
あの時の自分もまた、彼女の背中を借りている人間の一人だったのだろう。