きっかけ

その頃の事は、ぼんやりとしか覚えていません。
確か、地獄の中にいたと思います。
思い出したくないから、覚えていないようにしているのでしょう。



高橋愛は、まだ本当に「少女」でした。
少女特有の細い線が、彼女の瞳をより大きく印象付けていました。



何を見る事も拒否し続けていた濁った目で見た、
高橋愛の第一印象は、上記の2行で済むような、
ただそれだけのものでした。



僕の中に「きっかけ」が芽生えたのを、その時は気づくことができませんでした。



高橋愛の存在が、僕を地獄の淵から救ってくれた訳ではありません。
おそらく、時の流れが、僕の乗った小船を、
激流から平穏な大河へと運んでくれたのでしょう。
しかし、疲れ切った目で小船の外を眺める時、
岸辺に、ふと、彼女の姿を見ることがありました。
そしてその回数は、河を下るにしたがって段々と増えていきました。



時が経つにつれて僕の目の濁りは薄くなっていき、
また高橋愛も、その年齢特有の加速度をもって成長していきました。
目の濁りが消えたところから、彼女は僕の心の中に入ってくるようになりました。
そして、クリスタルのじょうろで、
心に根ざした芽に、水を遣るようになりました。
その回数は日を追うごとに増えていき、そして、今。



彼女は今も、僕の心の中の「きっかけ」に、水を遣り続けています。
僕の中で、「きっかけ」がなくなることはありません。
好きになる「きっかけ」は、今、この時。
日々の生活の中で、僕は、
高橋愛の事を頭に思い浮かべる。
一日に何回でも、何十回でも、何百回でも。
思い浮かべる度に、僕は高橋愛の事が好きになっていく、
一日に、何回でも、何十回でも、何百回でも、好きになっていく。
僕自身が心に限界を作らない限り、
そして人の心に限りが無いなら、
僕は、限りなく、高橋愛を好きになることができる。








(追記)
昨日は、いわゆる「わたあメッセ」に参加させていただきました。
参加された皆様、お疲れ様でした。
そして、快く受け入れてくださって、ありがとございました。
ほとんどダンマリを決め込んでしまった形になってしまって、申し訳ありません。
今度参加させていただくときは、もうちょっと話せると思うような気がしないでもないので、
その時はまたよろしくお願いしますー。