舞台

彼らは、本当に真剣でした。
舞台の稽古やドラマのエキストラのバイトなどで、
定時のアルバイトは難しい。勢い日雇いの仕事が多くなる。
当然、お金の入りも少なくなります。
細かいことまでは言いませんが、当時の僕は、彼らよりはお金があったので、
ご飯をおごってあげたり、お弁当の代金を出してあげたりして、
そのお弁当を持ってボロアパートで一緒に食べたりしていました。



食べながら、彼らは嬉しそうに、熱く語っていました。
今度、こういう舞台に出る。こんなCMのエキストラになる。
絶対見に来てよね、楽屋まで来てもいいよ!とか。
まっすぐな、綺麗な目を見開いて、語っていました。



彼らとも疎遠となり、10年近くが流れたでしょうか。
先日、ふとテレビを見ていると、その友達が出ていました。
びっくりしましたが、間違いなく、見覚えのある顔。
あるバラエティーの、再現VTRに出演していました。
そのVTRの中では結構重要な役を占めていたようですが、
まさか、今でも役者をやっているとは思わなかった。



でも、そのまっすぐな、綺麗な目は変わっていませんでした。
10年の月日が流れても、彼は綺麗な目のまま。





昨日の朝日新聞の夕刊に、高橋愛へのインタビューが載っていました。
「将来は舞台などで自分を表現したい」
ラジオでボソっと言っているのは聞いた事がありますが、
こうして活字になって出ると、なるほどな、と思わされます。



彼女の言っている「舞台」がどういうものかは分からないし(今から宝塚とも思えない)、
僕の知り合いだった役者志望の人達とは、立場もスタート地点も違いますが、





10年後の彼のように、高橋愛の瞳が輝き続けるなら、
僕は彼女の望むものを望もうと思います。






舞台かあ。一度見に行こうかな。
良質の舞台を見れば、心豊かになるかもしれないし。



そういう、心豊かになるきっかけを与えてくれた、
高橋愛の事を、また一つ好きになるかもしれないし。