最初の日

特急は大阪駅発。乗るのは『雷鳥』です。
他に『サンダーバード』という特急もあるんですが、雷鳥は昔ながらの、ボンネットがある形。
サンダーバードは、新幹線の『のぞみ』みたいな形です。
朝からビール!とにかくビール!ビールとカツサンドとロッテのトッポを買って出発。
デジカメの説明書を読んで暇つぶし。をしてると眠くなる。説明書ってホント苦手・・・・・。



京都を過ぎたあたりからだんだん外が雪で色づき出していって、電車が進む毎に積もる雪の厚みも増していく。
滋賀あたりになると、もう完全に雪国。山や林の木々が雪を被っていたり、駅を通過する時にプラットフォームが
一面雪で覆われていたりするのを見て、ただひたすら、「キレイだなあ・・・・・」とため息をついていました。
正直あんまり、「雪がキレイ」とは言いたくなかったりするんです。その土地に住んでいる人は確実にご苦労なさってる
と思うので。
それでもやっぱり、口を突いて出てしまうのは、「キレイ」という言葉でした。



敦賀あたりからの山々はもう『豪雪地帯』。その定義はよく知りませんが、僕にとっては十分豪雪地帯でした。
1mくらい積もってたんじゃないかなあ。まさに『深々と』雪が積もってました。
思わず電車から飛び降りて雪の上にパフッと飛び込みたくなりましたが飛び降りたら多分死ぬのでやめて、これなら
『聖地』も結構積もってるかな?と期待が高まりました。今回は『雪の聖地』を見に行くのが主目的なので、
大吹雪とかだったら普通に泣きますが、ある程度は積もって欲しいなあ、とは思ってました。



山を越えて、武生に入っても鯖江を通過してもそれなりに雪は残ってたので「おぉぉぉぉ」とテンション上がってたら、
その鯖江を過ぎたあたりから一気に雪が減って、福井駅に着く頃には地面も結構見えるようになってました。




はい。福井駅に到着。この画像ではもう雪は見えてませんね。
一度駅から出て、大きな荷物をコインロッカーに入れて、まだ10時過ぎだったので周辺をウロウロしてました。
雪で道路がビショビショになってるかなと心配してたんですが、確かに雪は道路の端に残ってはいるんですけど
それほど気にする必要はないみたい。普通のスニーカーでも十分歩けます。
で、そうやってウロウロしてると、なんかだんだんヘンな事をしたくなってきて・・・・・。
「春江まで、歩くかな。」



何回か車で行っていて、その度に、福井から春江までって歩けない距離じゃないなとは思っていました。
ンな事を思う必要はさらさらないくらい結構な距離なんですが、まあ、急ぐ旅行じゃないし、ゆっくり歩いて
行ってもいいかな、ってフラフラと目的地へ向かい始めました。



聖地までは基本的に一本道。踏切を越えて、福井大学の正門前を通って、途中、貸し衣裳みたいな店のウインドウに
ディスプレイされていたウエディングドレスに誰かを重ね合わせるというドキモい事をしながら、ひたすらテクテク歩く。
歩道を歩いている人はほとんど僕だけ。すれ違う人も1人か2人だけ。すんごい気が楽。自分のペースで歩けますから。



不思議と寒くない。間違いなく大阪より寒いのは、吐く息の白さの量で分かります。でも、不思議と寒くない。
歩いて体が火照ってるからじゃなくて、多分、『寒い』と感じる必要がないから寒いと感じないんだと思います。
寒さを感じる理由って、単に気温だけから来る訳じゃないんだな、って、少しだけ青色を
覗かせる空を見上げながら、またテクテク歩く。




向こうに、橋が見えて来ました。九頭竜川を渡る橋です。
橋を登っていくと、



写真ヘタッピで申し訳ありません・・・・・。
でも実際は彼方に見える雪山が本当に綺麗でした。九頭竜川と、川原に少しだけ積もってる雪と、雪を被った山々の
コントラストがすごく綺麗。
僕は冬の福井って始めてなんですけど、あんな雪山が見えるんだあ、って普通に感動しました。
おそらく、高橋愛もあの山を見ていたでしょう。冬には。
高橋愛の瞳にあの雪山が映っている。そう思うとその場に立ち止まらずにはいられなくなって、
しばらく橋の上で、山と川と雪のコントラストを眺めていました。



橋を渡りきり、ひたすらひたすら歩く。どれくらいかかったのかな?
1時間半か2時間くらいで、『聖地』に到着しました。



この画像、あまりにもあからさまに場所が分かり過ぎるかもしれないので、マズかったら教えていただければ幸いです。
すぐに削除します。
どうも春江町がどこかと合併するみたいなので、いやその話もどうなってるのかイマイチよくわからないんですが、
もし合併になったら当然のこの標識もなくなるわけで、僕は車でこの標識の下を通り過ぎる時に笑いが込み上げてくる
という妙な癖を持っているので、標識がなくなったらその癖も発揮できなくなるわけで、まあ要するに思い出として
一枚写真を撮っておきました。



春江に入ってからの画像です。ご覧の通り、雪はほとんど見えません。
でも見えないといっても前の日だかにはある程度積もってたのか、街全体が冷たく濡れた雰囲気を出していて、ある程度は
「雪の聖地」気分を味わうことができました。
ちなみに写真に映っているセスナは、『春江空港』に降りるところだと思います。(セスナに見えないな・・・・・)



これが、『ヨーロッパ軒』のある道路。縦貫道です。『縦貫道』って僕が地図を見て書いてあった名前を
そのまま勝手に言っている呼び方で、地元の方は違う呼び方をしてるのかもしれません。



んで、もう12時半くらいになってたので、ご飯を食べることに。
今回は『ヨーロッパ軒』以外で食べるぞ! と思ってたんですがナンノカンノで結局ヨーロッパ軒の暖簾くぐってるし。
でもせめて違うメニューにしようと、『ソースカツ丼』じゃなくて『ミックス丼(AとBがあったけどどっちか忘れた)』にしました。
ミックス丼にはカツ2枚とエビフライ1枚が入ってました。ソースカツ丼は、カツが3枚(多分)。
ああ〜やっぱり美味しいなあ。 カツ。問題は量なんですよね僕的に。胸やけしちゃうんです全部食べると。半分くらいでいいなあ。
さすがに、店内でカツ丼の写真を撮る度胸はありませんでした。ゴメンナシャイ。



なので、店構えの写真は撮っておきました。



ビクついて遠巻きに撮ってるので分かりにくくて申し訳ないですが、右の角にあるアーチ状の窓を持った店が『ヨーロッパ軒』です。
写真を撮ってる方向に道路をまっすぐ行くと、『中学校』があります。
んで、ヲタさんはこの『ヨーロッパ軒⇔中学校』というルートを結構使う人いると思うんですけど、この道、歩道がない上に
以外と車がピュンピュン通るので、なにげに危なかったりするんですよね。特に何人かで行ってたら横にも広がれないですし。
そういう時は、ちょっと左手(福井寄り)に歩を進めると『歩道』があります。



ここなら、安全に歩けます。中学校まで直行です。ちなみに、一番向こうに見えてるレンガ色の建物が中学校です
(画像小さくすると見えないな・・・・・)。
中学校の画像をドデンと載せることは差し控えたいと思います。
いつものように中学校の横を通り過ぎる。
この日は、トランペットの音が聞こえて来ました。




一番感動したのは、この絵を見た時でしょうか(ドデンと乗せてるような気が)。『中学校と、雪山』。
まあ、あの場所に住んでいるなら、あの山に特別な感傷もそうそう生まれないだろうなとは思いますが、
それでも、時々は「綺麗だな」と思ったかも知れません。
教室の窓から見たかもしれないし、登下校の時に見たかもしれない。
その度に、あの瞳に映るあの風景。
これだけでいい。僕の来た意味は、もうこれだけでいい。





それにしても、雪が本当に少ない。ないわけじゃないんですけど、



これくらいしかない。『武生』や『鯖江』には雪が積もってたのに、もっと北にある聖地に雪がないのはなんでだろう?
だから快適に歩けること歩けること。
歩きついでにプラプラ撮った画像をもう1つ。





『五月ヶ瀬 春江店」です。もう閉店してしまっています。前に来た時はシャッターが開きっぱなしで中が丸見えだったんですが
この日はシャッターがちゃんと閉まってました。



前回は夜まで聖地にいましたが今回は4時くらいまで。
プラプラ駅まで行って、





5分遅れの電車に乗って福井に戻りました。確かこの前も遅れてたなあ電車。



福井駅に到着。ホテルにチェックイン。『足羽川』のほとりにあるホテルでした。






少しホテルで休憩して、また街に戻る。6時くらいまで街をブラブラして、
あたりが暗くなって来たところで、今回の目的の1つである『和楽路』に向かいました。
和楽路についてもう一度説明すると、昔、『狼』の愛スレ住人だった時に「福井でオススメの居酒屋ない?」って
聞いた事があって、その時に教えていただいたのが『和楽路』でした。実際行ってみると『炉ばた 和楽路』。
炉端焼のお店でした。



今回ここでカニを食べようと思ってたんですが、残念ながらカニはないみたいで、でも『寒ブリ』はあったので
それを食べました。
愛スレの人が「おすすめ」と仰ってましたが、確かに。もう、ウマいウマい・・・・・。
僕が最初の客というのもありますが、ブリを一匹からさばいていってる・・・・・。
『ブリの刺身』と、『ブリ大根』。もう・・・・・。もう・・・・・。
口に中でとろけることとろけること・・・・・。ブリ大根のブリなんか、口に入れた瞬間に空気のように消えていく・・・・・。
久しぶりに、食べ物で感動しました・・・・・。



ただ、ここ、めさめさ高いです。
『ブリの刺身』『ブリ大根』『鶏のから揚げ』『ビール2本』これだけで、 3460円でした。
味はいい。でも高い。結構量が多いので、やみくもに高いわけじゃないんですが、まあ、高めですね。
本当は熱燗もいきたかったんですが、やめときました。というか、朝から飲んでるからあまりお酒飲む気にならなかったというオチ。





***





ここから、ひたすら街を歩き始める。
時々、店に入ってコーヒーを飲んだり、蕎麦を食べたり、漫画喫茶も入ったりしたけどすぐ出てくる。
なんか、歩きたくて仕方がない。歩かずにはいられない。
隣に、誰かが、いないのが、わかっているんだけれども、歩かずにはいられない。
自分自身は、高橋愛のファンとして、そういうあり方ではないと思っていたけれど、
その時だけは、歩いていると、寄り添ってくれるような気がした。
他の誰かじゃ駄目だった。
この街の夜が寒くないはずなんてない。でも、不思議と寒くない。
でも、何故が腹が立ってくる。寒くないと感じている自分に腹が立ってくる。
もう、訳が分からなくなるくらい歩いてた。
もうホテルに帰ろう、と思ってコンビニに寄って飲み物とか買って、
でも帰りたくないから、そこからまた歩き始めた。
やっぱり、寒くない。でも、なんだか悲しくなってきた。
残像と現実が繰り返されていく。そんな『現実』が悲しくなってきた。
こんな気持ちになるのなら、この街に来なければよかった。



こんなに歩くなら、いっそ、あの場所まで歩いて行けばよかったんだ。