雪  


雪がゆっくりと降りていく



ときおり風に揺られながら



風を白い色に染めながら



緑の地表に辿りついては溶けていく



そして少しずつ積もっていく



少しずつ緑を白い色に染めていく










想いがゆっくりと重なりつづける



確かめることもなく立ち止まることもなく



ただ揺らめく時間の中でひたすら見つめつづけていく



気づかないあいだに想いが積み重なっていく



灰色に固められた心の地表を



少しずつ白い色に染めていく










雪は溶けてはまた積もっていく



溶けた雪は流れになって



それは様々に表情を変えながら



次第に大きくなっていく



そしてまた積もっては溶けていく



絶え間なく繰り返し続ける










積み重なった想いを溶かしはじめる



それは時に言葉だったり文字だったり



叫びだったり



涙だったりする



そしてまた想いは積み重なっていく



絶え間なく繰り返していく












やがて春が訪れて



全ての雪が溶けていく



緩やかな風に撫でられては溶けていって



地表には永遠の緑が再びあらわれる










想いが心の中で溶けていく



あらゆる気持ちを包み込むようにして



白く積み重なっていた想いが緩やかに昇華していく



灰色の心を、永遠の緑に変えて