僕はツアーの途中から、一つの指輪を付けるようになっていました。
指輪は、それほど数は持っていませんが幾つか持っていて、その中には形に「意味」を持つ指輪があります。
「愛」とか、「友情」とか、そういう類の意味です。
僕はその中から、ある意味を持つ指輪を選んで、それを付けてコンサート会場に足を運んでいました。
その指輪の持つ意味は、「挑戦」。
僕がツアーを通じて感じた、高橋愛のキーワードでした。




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「いくら自分が安部さんの歌が好きでも、『前のほうがいい』とは言われたくないから。
『また違った良さだよね』とか『違った曲に聞こえる』とか言われたかったから、
そこは頑張りました」(モーニング娘。×つんく♂ 2 より引用)



「ふるさと」は、歴史もあるし、この引用は「Memory青春の光」の時のものですが、
その「Memory〜」よりもストーリーを持ち、かつ多くの人達に愛されてきた曲だと思います。
もう、イメージが出来上がってしまっていると言ってもいい、ある意味完成された曲だと思います。
そのイメージに近ければ違和感なく、いいね、と言ってもらえる。
イメージに遠くなれば、そうじゃないでしょ、と言われる。




ベートーヴェン交響曲第五番、『運命』。
フルトヴェングラーの指揮が至高と信じて疑わない人がサイモン・ラトルの指揮を聞いた時に、
眉をひそめて、そうじゃない、と首を横に振る事が往々にしてあります。




世評の定まった曲に対して、引用文のようなアプローチをするのは、すごく難しい。
でも、他者との差異を明確にしていかないと、その差異に挑戦していかないと、
表現者としての「個」の確立はありえないだろうと思います。




高橋愛は、「高橋愛」の確立に挑戦しているんじゃないか、そう僕には感じられました。
挑戦していく上で、違わなくてもいい部分まで違うように表現してしまう事があるかもしれません。
これからも「ふるさと」のような、ファンから深い思い入れを持たれている曲を歌う機会があるかと思いますが、
ひょっとしたらその曲は、「ふるさと」以上に違和感を持たれるかもしれないな、と思っています。
モーニング娘。にいる間は、そういう違和感を持つ人はいなくならないだろうな、とも思っています。




でもそれは、この先高橋愛表現者として在るために必要なステップだろうし、
それに、そういう挑戦は「ふるさと」だけに見受けられる訳ではありません。




2つあります。
1つは、歌い方です。愛ちゃんは歌い方を、変えます。
まず、CDでの歌い方を変える。
前の会場と今いる会場で歌い方を変える。
昼と夜で違う歌い方をする曲もありました。
マンパワー」の最後の部分、「独占欲」のソロ、「声」のフェイク。
「すき焼き」だって歌い方が違います。
それは高橋愛が常に表現に関して試行錯誤を繰り返している事の表れじゃないかなと思っています。




もう1つは表情です。
挑戦する時に、自信を持たずに挑戦する人はあまりいないと思います。
今回のツアーでの愛ちゃんには、笑顔にしろ切なげな表情にしろ、線の細さを感じさせる部分がない。
その見方はツアーが進む毎に強くなっていって、特に笑顔については、パートを歌い終わった瞬間に見せる
大人びた笑顔や、マイナー調の曲を歌っている時に見せる微笑の中に、はっきりと力強さを感じました。




僕はその笑顔の力強さは、愛ちゃんが今恋愛の途上にあるからだと思っていました。
別にそちらの方向に話を進めるつもりはなくて、表現の話です。
素敵な恋愛をしているんだろうな、と思わせるだけの深い表情を見せてくれる事が多かったんです。




ただ、その力強さが、挑戦している事による自信から来ている部分が多いんじゃないか、と最近思い出しました。
もちろん表情の浅深は一方向から来る訳もないので恋愛をしているのかもしれませんが、
クドいようですが恋愛してるしてないの話じゃなくて、
要するに、愛ちゃんは表現者としての「個」を確立するという挑戦にとても充実感を覚えていて、
その充実感が表情に表れている部分が多いんじゃないかな、って思うようになったんです。




もしそうだとしたら、それは秋のコンサートツアーでの高橋愛の更なる変化を予感させるものになるな、と思ったんです。
その横溢する充実感で次のコンサートでの曲に当る時、一体どんな高橋愛の「個」を見せてくれるんだろう。
そう思うと、やっぱり秋のコンサートも出来るだけ行きたいな、ってそう思ったんです。




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以上が、感想です。難しいなあ〜やっぱり。
昨日も書きましたが、キーを叩いていて、楽しくはないです。
「ハァ゛ァ゜、書き終わったぁ゛ぁ゛」こんな感じです、はい。
でも、また書くと思います。愛ちゃんがステージに立ち続ける限りは。





あ、最後にいつもどおり逃げ打っとかなきゃ。タコ坊主の感想なので、よもやマジマジとはご覧にならないでくらさい。