□ コンサートで高橋愛を見た、その時の気持ち  〜 ラストキッス




スクリーンの左端から、ゆっくりと消えていこうとする後ろ姿。
信じられない。
この世界に身を浸していられるのが、1日の内わずか数分間だけなんて。
考えられない。認めたくない。

 



凛とした後ろ姿。
作り上げた世界が崩れる事を拒絶するかのような、その後姿に全神経を張り巡らせているような、
まるで意志の強さが表れているようなその姿態が、僕の目の前から消え失せようとしている。
その理由がわからない。
いつまでも見ていたいのに。









真剣な眼差し、いじらしい微笑み、息せくようにかき上げる髪。
悲哀と熱情が複雑に重なり合った表情。
大好きな人が、大好きな曲の中で見せてくれる姿。
その姿を、「あなたは決して一生忘れない」と、なにものかに保証してほしい。
忘れたくない。僕は保証書がほしい。
確かに心に刻み付けた、と確約してくれる保証書が。





ずっと見ていられたら、そんな保証書なんていらないのに。
暗転。後ろ姿が見えなくなった。
その暗闇の中に、どうしても黄色い残像を探してしまう。
たとえ残像でも、かげろうのような光でもいいから、
僕の心の中に、いつまでもあり続けていてほしい。