紀行文を書きました。でもあらかじめ言っておくと、最後のほうはもう紀行文ではありません(笑)。キモ文ばっかりになってます(笑)。あんまり読まないほうがいいかも。自分が書いててなんですけども(笑)。
でも考えていた程はネガティブになってないかな。それでも多少はネガ入ってるので、そういうのが苦手な方はそっと「閉じる」をクリックして下さいませ。一応、始まりまでは大きく行間を開けておきます。
それから、冒頭部分にネガ文を持ってきてみました。それ見て「ア、ダメダコリャ」と思ったら、やっぱり「閉じる」へと指を。2重に、ネガ文読まない防護壁は作りましたです。
それでは。  あ、長いですよこの更新(笑)。
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高速バスは2階建てだった。その2階の中央付近の座席に座って、1冊の本を読みながら福井へと向かっていた。
包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)

包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)


200ページ足らずの単行本。7時半くらいに読み始めて、9時半くらいには読み終えていた。
心に傷を受けた若者達が、その傷を受けた「場所」に包帯を巻いていく。傷を治す事はできないけれども、包帯をすることで、血を止められるのではないか。少しでも、楽になるのではないか。
そう思った彼らは、いろんな場所に包帯を巻いて行く。言ってみれば、ただそれだけの、ほんのささやかな小説だった。でも、とても優しい小説だと思った。心が洗われるような本だった。
「自分にも、その包帯が欲しい」
そう思った。
瞬間、そんな自分にどうしようもなく吐き気がした。
□  紀行文

ふくいきたにきた。

・・・マジでローラーブレード持ってくればよかった(持ってないけど)・・・・・。
この日は持病の膝が絶好調に痛くて、「ここから市内まで歩いていくのか・・・」って、一瞬途方に暮れました。しかもこの日の福井はやたらと蒸し暑くて、曇という天気予報にも関わらず結構晴れていて、普通に暑い。回りにバス停を探しても、ない。電車は待てば駅が近くにあるけど、なんだかそれは面白くない。結局、歩いて福井の市街地まで向かう事にしました。
でも、歩いているうちに暑さと痛みで意識がボーッとしてくる。電車が面白くないと言いながら、歩いてもそう面白くない。福井は好きだけど、基本的に車社会なのですれ違う人もいないから福井弁も聞こえてこないし、さすがに愛ちゃんともゆかりがなさそうな場所を歩いているので残像も見えにくい。行く手にバス停が見えたので「あ、あれに乗ろう・・・」と早足で近づいて時刻表を見ると、土日祝休業ってこれは泣ける・・・。
福井県庁の上あたりにあるテレビ塔みたいなのが遠くに見えるのでそれを目指してひたすら歩く。そんなに高くないこのテレビ塔みたいなのが結構離れた場所からも見えるあたり、福井にあまり高いビルがないっていうのを物語ってるかも。実際、高層ビルとかは見た記憶があまりないような。
それほど迷うような道でもないので、道のり的にはスムーズに福井駅前に12時過ぎに到着。1時間半くらいのウオーキングに疲れ果ててましたが、本番はここから。倒れてる場合ではない。というか、駅前でコケて倒れかけた。
「あの町」へ行く電車には14時まえ発のに乗る事にして(さすがに歩いて行く気にはなれなかった)、それまでの1時間くらいでまずホテルに荷物を預けてから駅前の繁華街を散策。福井北ICに下りた時には着ていた長袖のシャツも一緒に預ける。もう、暑い。
路面電車の走る通りを、ブラブラと西武やロフトのある方向に歩いていると、その通りの並びにシルバーアクセのショップを見つけたのでフラフラと中へ。このショップには以前にも入っていて、ピアスを買ってます。でもその頃は違う場所にあって(といってもすぐ近くの商店街)、接客してくれた人は何故か日本語ペラペラの男性の外人さん。というか、勝手にそのショップが移転したと思ってるんだけど別のショップなのかな。
今回接客してくれたのが、小柄で可愛らしい感じの女の子。で、「あ、そういえば、福井の女の子と普通に話した事ってないなあ」と思ったので、アクセサリーの事をあんまり知らないふりをして話してました(笑)。いや別にめちゃくちゃ知ってる訳ではないんですが、この時は、ほぼ、初心者のふりをして話してました(笑)。質問とかして話を間延びさせたりとか(笑)。やっぱり福井弁はイントネーションがやたら可愛い。もちろん女の子が喋るから可愛いんであって、オッサンはたとえ「のりピー語」を使っても可愛くないですからね(古いな)。
ここでペンダントヘッドとチョーカーを買いました。「地の特産物」という訳じゃないけど、こういった物の方が自分的には思い出に残ります。 この後、ロフトへ行ったり紀伊国屋書店に行ったり無印良品に行ったりして時間をつぶして、電車の時刻になったので福井駅に戻って、
そこから、「あの町」へと。
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「あの町」の駅に電車が止まって、ホームに降り立つ。
空を見上げて、少しだけ息をつく。
よく考えたら、いつもそうしていた。
朝は晴れていた空が、いつの間にか曇に覆われている。
駅舎を出て、そのまままっすぐ前の道を歩いていく。数分歩くと、栄えている幹線道路の交差点に出る。その角には『ヨーロッパ軒』。つまり駅から歩くとそのままヨーロッパ軒に出る事になるので、いきおい「あの町」で行う具体的な最初の行動は「ソースカツ丼を食べる」ことになる。車で行ってた時もそうしてたけど。なんだそりゃ。
で、以前、日記のコメント欄に「どこを改装したのかわからないような改装がされている」というコメントを頂いていたので、信号待ちを利用して外見を眺めてみる。確かに何が変わったのかわからない・・・。いや、ちょっと外壁がキレイになってるかな?でも昔からこんな感じだったような気も・・・。などと思いながら信号が青になったので渡ってお店に入ると、ちょっと納得。席の配置が若干変わってました(と思う)。縦貫道側の窓際のテーブル席の並びが前と違う(はず)。
ソースカツ丼の上を注文。ここにはソースカツ丼以外にもいろいろメニューがあるので食べてみようかなと思いながら、たいていの場合ソースカツ丼になってしまいます。福井に住んでるか、ヨーロッパ軒大阪分店でもあればいろいろ食べてみる気にもなるんですが、そうそう行ける場所でもないので、結局王道を選んでしまいますね。
そして、いつものように胸やけを起こして店を出る(笑)。いや美味しいんですよ。というか、これ書いてて気づいたけど、あの町へ行っていきなりカツ丼食べるからその後ずっと足どり重いんだなあ、と(笑)。ま、ちょうどお昼時に行ってるというのもあるんですけどね。
あ、それから、何回か説明している事ですけど、「あの町」の名前を出そうかどうかいつも迷うんです。以前は普通に出してました。今でも、コメント欄では普通に町名(今では市名になるのか)を出してます。本文中にも出していいとは思うんですが、なんとな〜く、控えたほうがいいのかなとも思ってて。あと、「あの町」という言い方が少しばかり気に入ってるというのもありますね。
ちなみにあの町の写真は撮らずです。ホテルに預けた鞄の中にデジカメ忘れてしまって。楽に動けるようにウエストバッグ付けて歩いてました。
ところで町の印象ですが、あ、その前にここは最近「○○町」から「××市」に名前が変わりました。それで、何か変わった所があるかな?と思いながら歩いてましたが、全然分かりません(笑)。道路標識は変わってました。でも、ほんとそれだけ、みたいな感じ。
これからも少しずつ変わっていくんだろうけど、それでもゆっくりとした流れで変わっていってくれるのは安心します。変わっていくのも、ゆっくりなんだなあ、って。ずっと、ゆっくりでいてくれるんだなあ、と思えるんです。
そこから、いつもお決まりの『中学校』へ。
以前の更新で僕は、「秋に福井へふるさとをピアノで弾きに行く。その時にベストなのは『中学校』の前に写真集『19』に出てくる洋館を移築することだ」と、アホな事を言ってます(笑)。なんでこんな事考えたのかというと、中学校の裏手が一面田んぼだからです。広く周りを見渡せるんですよね。だから「ああこの広い土地の真ん中に洋館持って来てピアノ弾けたら気持ちいいだろうなあ」とか訳わかんない事考えてたんです(笑)。
この日もそんな目茶苦茶な事考えながらそのあたりを歩いていると、なんか田んぼの向こう(数百メートル先)にちょうど良さそうな物件を発見(笑)。これは本当に物件です(笑)。賃貸マンションですね。「のぼり」が立ってるので貸してもらえると思いますお金払えば(笑)。
「このあたりに別荘が欲しいなあ〜」は常に考えてますね、いや、マジで。定職に付いてるし今から転職も難しいから(←このへんにマジっぷりが表れてる)、別荘で。それにホテルってやっぱり落ち着かないんですよね。自分の部屋を持てるならそれに越した事ないし。ね。ね。
その物件は思いっ切り中学校を見やる事のできる場所にあるので、「いやあぁぁ、あそこに電子ピアノとベッドだけ置いてええぇぇ」とか、まあ、妄想してるうちが華ですからね(笑)。
この日は他に、「五月ヶ瀬」のお店にも行って来ました。「五月ヶ瀬○○店」。
ここが、どれくらいだろうな、1年と数ヶ月くらいの間になるのかな。閉店してもぬけの空になってました。僕が始めてこの町に訪れた時には営業していたので、閉店した時はなにげにショックで。でもこの度(4月らしい)、めでたく「総本店」としてリニューアルオープンしてました。よかったよかった。またここでなんやかやと買えます。イートインコーナも新設されていたので(以前はなかった)、休憩がてら、ここでショートケーキとコーヒーを頂きました。
あとはいつものように、ブラブラして、ショッピングモールに入って本をパラパラめくったりして、また外に出てブラブラ。変わらずに、いつものように。だんだん雨がパラつくようになってきたので、大きな通り沿いにあるコンビニで傘を買って、雨が止んでる時はそれを杖代わりにして歩いてました。この日はずっと膝が痛かったですね。でも、雨が止んで、いの1番に吹く風がとても気持ち良くて。そうだ。とにかく風が気持ちいいんです、あの町は。ずっと吹かれていたい。
と、言ってる訳にもいかないので、夕方くらいに再び電車で福井駅へと。そのままホテルにチェックインしました。
この時点までは、特にネガティブな書き方してないですよね、僕。
ネガティブは、夜に始まります。
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ここに、小雨の降る中、立ち尽くしたあたりからです。秋に、ここへ「ふるさと」を弾きに来よう、と決めていた場所。
もう夜空から雪は降っていないこの場所に立てば、自分は必ずここで弾きたくなる。そう思っていた場所。
でも実際そうやってみて、空を見上げながら、雨の雫を顔に当てながら、まず浮かんだのは、
「俺、なにやってんだろう」
ここに高橋愛はいない。いない所で弾いて、なんになるんだろう。
この土地に高橋愛はいない。そんな場所で、俺は一体なにをしてるんだろう。
ここでピアノをいくら弾いたところで、傍らで高橋愛が歌ってくれる筈もない。
なら、どうして俺はピアノを弾こうとしているんだろう。
理由はわかってる。わかりたくないけど、わかってた。細かい雨に打たれながら、やっぱりそうなんだろうなと思う。
自己愛だ。
単に自分が可愛いからここへ来て妄想を膨らませているだけの話だ。
高橋愛を単なる慰み物にしている自分にどうしようもなく絶望した。
雨が止んだ。
ここで土砂降りにでもなれば、ドラマチックだったのかもしれない。
そう思った瞬間、「ほらやっぱりな」と、俺の中にいるもう一人の俺が鼻で笑う。
□  □  □
居酒屋で、12時前くらいまで飲んでいたような気がする。でも、あまり酔えなかった。
このままホテルに帰ってもどうせ眠れないと思ったから、ホテルの近くにあるショットバーに入って、ワイルドターキをダブルで注文した。昔はそうやってよく飲んでいた。いろんな事を忘れたい時の飲み方だった。
落ち着いたこげ茶色の、どっしりとしたカウンター。目の前に、可愛い、小さなキャンドルがまず置かれ、そのあと程なくしてターキーが置かれた。丸い氷をグラスの中でクルクル回しながら飲む。
バーテンダーは気楽に話しかけてきてくれた。こっちも喋ってるほうが、なんとなく落ち着くから、他のお客さんも交えてとりとめもなく会話をしていた。
「大阪から来た」と言うと話がそちら方面に流れて、バーテンダーが「大阪だと有名人にいっぱい会えるんですかねえ」と聞いて来た。NGKあたりなら吉本のタレントさんが、みたいな返しをした。
ふと、質問したくなった。
「福井の有名人って、どんな人がいるんですかね?」
「そうですねえ、川本真琴とか、五木ひろしとか。
あと、モーニングムスメのタカハシアイですかねえ。」
別に、ここから話を広げるつもりもなかった。
ただ、ファンでもなんでもない人の口から「タカハシアイ」という言葉を聞きたかった。
□  □  □
次の日は、ホテルをチェックアウトしてから「洋菓子のなかむら」へ。これもまたいつもの事。お店に貼られた愛ちゃんのサインを眺めながらチーズケーキを買って、

液キャベでデザートタイム(爆)。
いや、他に缶コーヒー買ってましたが(笑)。それにしても僕は毎回、


外でチーズケーキを食べてます。「なかむら」は喫茶設備がないので、どうしても外でパクつく事になります。公園とか、川沿いのベンチとか。食べる場所があれば便利なんですけどね、なかむら。
福井駅前に着くと、もういい時間。廻り寿司でお昼ご飯を食べて、お土産を買って、13時半くらいだったかな、えちぜん鉄道で福井北IC近くの駅まで行って、そこからICまでは徒歩5分くらい(近かったのね・・・)。
そして高速バスに乗って、帰って来ました。
□  □  □
高速バスの座席に座って、昨日買ったペンダントヘッドとチョーカーを眺めていました。

ヘッドには英語で文章が掘っていて、でもいまいち和訳ができない。文法が悪いのかこっちの頭が悪いのか、多分後者だと思うけど、昨日の夜の事で虚ろになってる頭でウンウン唸りながら読んでいると、文の最後の単語がスッと頭の中に入ってきました。
”free” 
自由、か。
心の中で呟いた瞬間、一気によみがえる、昨日のショットバーでの出来事。
□  □  □
ウイスキーの入ったグラスを右手で口元へと持って行く。
なんだか、妙に違和感があった。グラスを持っている右手に。
ウイスキーと氷越しに歪んだ像で見える指が、なんだか自分の指じゃないような気がした。
グラスを置いて、右手を広げてみる。目の前にあるキャンドルに手をかざして、表と裏をためすがめつ眺めてみる。
びっくりした。
小指が、伸びてる。
□  □  □
小指は、自分の「醜さ」の象徴のひとつだった。他の指に比べてやたらと小さくて、変な折れ曲がり方をしていて、それひとつではなにもできない、なんの役にも立たない。動けない。そんな、ちいさな小指が大嫌いだった。
その小指が、伸びてる。気に食わない曲がり方もしていない。しっかりと、5指の中で存在感を持つようになっている。
それを見た時、とても嬉しかった。自分を「醜い」とがんじがらめにしている鎖の1本が断ち切られたような、開放されたような、確かに自由になったような気がした。
明らかに、ピアノを弾き始めたその恩恵だ。ピアノを弾くという行為が、目に見えない精神面だけじゃなく、肉体的な鎖縛まで解いてくれていた。
ピアノを弾こうと思わせてくれたのは、高橋愛だ。
彼女が僕にくれているものがなんなのか。それを、僕の小指が証明してくれている。
□  □  □
ピアノを弾こうと決断したのには、理由がある。いろいろある。でも1番大きな理由は、「そうすれば、彼女と共に歩める」そう思ったからだ。
アイドルと共に歩む、など、はっきり言って、幻想だ。
でも、僕の頭の中には、とある美術書の中の一文がずっとこびりついていた。
表現者には、表現者の事がわかる」
わかりたいと思った。高橋愛の事を、もっとわかりたいと思った。彼女が表現者でありつづけるなら、「共に歩む」という幻想を幻想ではなくす手段があると思った。自分自身が「表現者」となる事が、唯一の手段だと思った。そうすれば、もっと高橋愛の事がわかると思った。わかりたかった。自分の生ある限り、この人をわかり続けて行きたいと願った。
だから、ピアノを始めた。
そして、僕の小指は自由になった。
高橋愛
僕に絶望と自由をくれた人。
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・・・これで紀行文は終わりです。
・・・すいませんねえなんか・・・・・。
もうちょっとまとまると思ったんだけど・・・・・。
いや、もうちょっと時間をかければまとめられたんですけど、もう今回は、これでいいかな、とも思いました。こういうキモ文は最近書かなくなってるし、この先もあんまり書かないようにするつもりなので、ほんと、たまにだから、ならこんな感じで瑕疵だらけの文章でもいいかな、って。
でもなんか、ちょっとスッキリしたかな。こういうタイプの書き方のほうが、『高橋愛の瞳』っぽい、というか、書いてて好きですね。また明日からは普通に書くけど、今日だけ、こんなんで。また数ヵ月後に、こんなんを(笑)。