tombouze2006-06-03

宝塚に行って来ました。画像に「当日B席」とありますが、これは当日券のB席でしかも1番後ろの席(17列目)が「当日B券」として2000円で売られていたものです。普通のB席は3500円なので更に安いし、あと、今日もやっぱり膝の調子が悪かったので、むしろ1番後ろの席のほうがよかったんです。膝が痛くなっても後ろの人の事を気にしないで立ち上がれますから。
昨日も書いたように、今回の演目は「暁のローマ(http://kageki.hankyu.co.jp/revue/06/02moon/index.html)」。
リボンの騎士 ザ・ミュージカル」の脚本・演出をしている木村信司さんの作です。木村さんって、一体どんな舞台作りをしてるんだろう、と思って見ていたんですが、いやはや。面食らったというか。あ、そうだ。こういうのもやっぱり「ネタバレはダメ」とかあるのかな。娘。のコンサートでもネタバレを避ける人がいるし。はてなダイアリーは、リンクがあるし。一応、舞台の内容について少し触れているので、宝塚の検索で来られた方で「内容は見たくない」という方がいらっしゃいましたら、どうかご留意下さい。
木村さんは「リボンの騎士〜」の製作発表の時に「宝塚のまねはしない」みたいな事言ってたと思うけど、木村さんの作ってる宝塚の舞台自体が、僕の中にあった宝塚のイメージとはえらく違いました。もし近場に住んでいる方で、夏に娘。のミュージカルを見に行く方は、今月の19日まで公演はあるみたいなので、一度見ておかれると、夏のミュージカルが更に興味深くなるかと思います。「暁の〜」を見た後に、娘。のミュージカルが「宝塚みたいになる」と思う方は、おそらくいらっしゃらないんじゃないかな。
「宝塚らしさ」というのをどこに置くかによるし、というか、こちらは宝塚に関してはほとんど知らないので何を言うにも限りがあるんですけど、あまり宝塚を知らない人にとって、宝塚らしい宝塚って、「ベルサイユのばら」あたりになるんじゃないでしょうか。優雅で、きらびやかで、貴族社会を描いて、言葉遣いももって回って品が良くて、みたいな。僕は去年の12月に始めて大劇場に舞台を見に行っていて、その時の演目もそういった延長線上にあったので、「ああなるほどこれが宝塚か」とそのまま納得していたんです。
でも今日見た木村さん演出の舞台は、ちょっと、というか、かなり違いました。だって、幕前に、オクタヴィアヌスアントニウスのかけ合い漫才から始まるんですよ(笑)。しかもどちらかの方がちゃんと関西出身みたいなので、イントネーションも間違いないし、なにげにうまい(笑)。ちなみに、この「かけ合い漫才」は舞台の最後のほうにも出てきました。
印象的だったのは、言葉遣い。かなり一般的というか、生活臭がただようというか、「今よろしくてお兄様、こちらがお姉様のお父様のお母様ですわよオホホホホ」みたいなかけ離れた世界じゃない。ごく普通の喋り口調が散見されました。
「お前なんか、あたしの子じゃない!」とかね。ブルータスの母親の言葉なのでそれなりに高貴な身分の人だと思うんだけど、こういう言葉遣いでした。あと、その他の場面でも「えらい」とか「すごい」とか、やたらとわかりやすい語句を使っていたように思います。
内容自体も、宝塚独特の(と僕的には思っている)「きらびやかな夢を見せる」というよりも、もっと身近で、リアルな臭いが漂う作風になっているような気がしました「男は10人や20人の女を口説けて当然。女房と女は違う」とか。まあ10人や20人の女性を口説くのがリアルなのかどうかは人によるでしょうけど(笑)、そういった事を平易な言葉で言うから、「華やかな世界」といった趣きではなかったように感じました。
木村さんの舞台を見たのは今回が始めてなので、さすがに毎回最初にかけ合い漫才を取り入れてるとは思えませんが、全体的に、スタンダードとか、スマートなカッコよさとは一線を画して、かなりベタに楽しませるタイプの作り手さんのように思いました。この人の作品って、宝塚ファンの方々の中でも評価が分かれる、という話を聞いた事がありますが、それもわかるような気がします。「ベルばら」みたいな世界が好きな人にとっては木村さんの作り方は、なかなか受け入れるのに骨が折れるかもしれません。
僕は舞台を見ている途中から、すごく「娘。っぽい」というか「つんくさんっぽい」と思うようになってました。そういえば、舞台の曲中に娘。のコンサートでよくやる、拳を振り上げて「オイ! オイ!」ってやるのが出てきてビビりまくりましたが(笑)、それは置いといても、「普通の事はしない」みたいな雰囲気がハロプロあたりとよく似ている気がしました。「リボン〜」の脚本・演出に、宝塚の中に幾人かはいらっしゃるであろう中から木村さんが選ばれたのは、まあ、故がない訳でもないのかな、と思いました。今日僕が見た舞台が木村さんのスタイルなら、多分、娘。とはかなり相性がいいんじゃないかな。
夏にある「リボン〜」を、ベルばらみたいな世界で想像してると、思いっきり裏切られるかもしれません(笑)。これは想像ですけどね。いやでもこれだけ想像が楽しいのもなかなかないですよ。「夏はいったいどんなの作ってくれるんだろう」って、舞台が終わった時にワクワクして若干笑ってましたもん僕(笑)。今日は本当に行ってよかったと思います。膝痛も思った程には出なかったし。