感想を徒然に書いていきます。
夢から醒めて』を聞いてこれだけ自分の胸の内に感慨が湧いたのは、もちろん、高橋愛のソロ曲だというのもあるけど、そのソロとして託されたこの曲が、高橋愛のファンとして言えば名曲、いち音楽ファンとして言えば良曲、ごく個人の音楽的趣向として言えばガチで好みの曲だった、というのもあります。
オーケストレーションをアレンジに入れたバラード、というのがとにかく好きなんです。それだけで採点が甘くなってしまう。冒頭、低音から唸るような弦楽器の響き(もちろんコンピューターで作られた音なんだろうけど)が聞こえてきた瞬間に「あ、こりゃもうダメだ」と思いました。自分の好みじゃないはずがない、って。
曲の構成が、とてもシンプル。普通は「Aメロ→Bメロ→サビ」という構成が多いと思うけど、『夢から醒めて』は「Aメロ→サビ→Aメロ」という構成です。もうちょっと言うと「Aメロ→サビ→Aメロ→間奏→サビ→Aメロ」で、ラストはAメロのメロディを変えて歌い上げる形になっています。はっきりと2番、というものはありません。
Bメロはサビに向かうための「タメ」作り、みたいなところがあって、これがあると曲に安定感が出ます。逆にBメロを使わない曲は、疾走間とか、爽快感みたいな印象を出しやすいみたいです。
歌詞については、また別に書きますが、この曲には「夜の星」「空」「海」「風」「時を越えて」など、『遠くを見ている』雰囲気がよく表されていると思います。その歌詞世界に、この曲構成は、今はそばにいない誰かに想いを馳せている情景を表現するのにとても適しているのではないかと思います。
上にも書いたように、はっきりとした2番がありません。シンプルな構成です。ネット配信の曲だから2番をはしょった、という穿った見方もできますが、曲自体はそれほど短いわけではありません。トラック自体の秒数は4分44秒。前後に長い無音部分がありますが、それを抜きでも4分30秒ほど。ポップスソングとしてはごく平均的な長さだと思います。自分のiTunesから例を上げると、ミニモニ。の『ぎゅっと抱きしめて』が4分34秒です。
ポップスソングとして平均的な長さの曲で、これだけシンプルな構成ということは、ものすごくゆっくりとしたテンポのメロディだ、という事です。高橋愛はそのゆっくりとしたテンポの中で、なんら慌てる必要もなく、とても丁寧に表現をこなしているのだと思います。高橋愛のボーカルについては、これもまた別で書きますが、今まで高橋愛が歌ってきた曲では聞いた事がないような声の色艶や歌い回しをしている部分があって、それができたのは、曲のゆっくりとしたテンポと無縁ではなんじゃないかな、と感じています。