日曜日のコンサートで、1番耳にするのが怖かったのは、ガキさんの卒業に対するメッセージだった。
それは『娘DOKYU!』でガキさんがこんこんに「やっぱり(卒業するの)止めますって言っていいんだよ」と話しているのを聞いた時からだった。
その時のガキさんに、5期に対する純粋な、いや、innocentとも言うべき、真っ直ぐであどけない気持ちが見て取れるような気がしていた。
そんなガキさんが実際に「別離」と向かい合う時、どういう状態になって、どういう言葉をかけようとするのか。
それを見るのが、なんだか、怖いと感じていた。
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ガキさんは、言葉が出なかった。
背を曲げ、俯き、嗚咽の中で必死に言葉を出そうとしている。
でも言葉が出ない。
どうしても出ない。
曲げた背が、俯いた顔が、揺り動く。
心の激動が垣間見えるようだった。
そして、言葉が出ない。
心の拒絶が垣間見えるようだった。
しかし最後、おそらくは歯を食いしばるように、心を振り絞り、
言葉を発した。
「本当にやめちゃうの?」
それは、実感が湧かない事実に対する質問であり、
未だ納得のできない部分がある事に対する疑義であり、
いつまでも自分達と共にあって欲しいという懇請であり、
共にあった人との別れに対する、決断の言葉だったのではないかと思う。
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背を曲げ、俯いたガキさんは、
なんとなく、蝶々の蛹のように僕の目に映った。
彼女はいつか、この悲しみの背を割り、羽を広げ、
心の中の大地に新たな蝶を羽ばたかせるのだろう。
それは、まるで彼女の表情や笑顔のように、
色鮮やかな鳳蝶(アゲハチョウ)なのかもしれない。