ミュージカルは本当に、掛け値なく楽しかったです。思い出すと、あそこも楽しかった、あそこも、といろいろ出てきたりするんですけども、2日くらいに分けて印象に残ったところをサラサラっと書いていきます。
・ マルシアさん
愛ちゃんのお母さん(笑)。いや、サファイアのお母さん。
僕がこのミュージカルを見て泣いた原因のかなりの割合、この人のおかげかと思います(笑)。
第一幕が終わる前、サファイアが女性だと自らが告白してしまう場面は、もう圧巻。幕が下りる直前の泣き叫ぶ所なんか、僕はもう「ここで泣かずば何処で泣く」くらいの勢いで泣いてました。
サファイアへの、娘への愛情がひしひしと伝わってくるような演技は、とても心に染み入りました。実際、サファイア役の愛ちゃんとの関係も良好だった、というか実際親子のような感覚があったのかもしれません。千秋楽終わりの舞台挨拶で「もう娘とも会えない(泣)」みたいな事を言っていたし、愛ちゃんもとてもなついているようだったし。仲、良かったんだと思います。
僕はマルシアさんについては、テレビの影響が大なんですが「キツイ人なのかな・・・」と思ってたんですよね。でも実際はすごくいい人なんだな、とその時に感じました。
それから、「この役は高貴な役だから自分にとってはチャレンジだった」というような事も言ってました。その喋り方にちょっと驚いたんです。僕はここ数年はテレビをほとんど見なくなっているので、最近のマルシアさんを知りません。で、ミュージカルでマルシアさんを見て「あ、ブラジル訛りなくなったんだ」と思ったんです。
でも、挨拶の時はきっちりブラジル訛りで、それに驚きました。マルシアさんは、確かに、自らの役に懸命にチャレンジしていて、だから挨拶の時にあんなに泣いていたんだろうなと思います。
僕は今回のミュージカルで、マルシアさんと箙さんはあくまでベテランのゲスト扱いなのかな、みたいな考えを観劇する前までは持っていたんですが、決してそうではなくて、どの配役にも挑戦することが要求されている、月並みな言い方ですが本格的なミュージカルだったんだな、という事を、もちろんそのあたりは実際の舞台を見て感じてる事でしたが、その時のマルシアさんを見てあらためて感じ入りました。
・箙さん
この人に関しては、もう何をかいわんや。圧倒的な「声」でした。
ライブに入る前の独唱部分は、怒濤とも言うべき「声」の大波、豊かな声量と響きにこちらは抗う術などありませんでした。まさしく「芸術」。
箙さんの声は、モーニング娘。のメンバーにとっても勉強になったと思うし、それは観客であるこちらにしても同様の部分があると思います。ああいう声楽を元にした歌い方は、CDとかだと「?」と思っても実際に生で聞くと本当に感動します。 アイドルと宝塚でジャンルは違うけど、「声」の凄みというのを我々は感じる事が出来たと思うし、それはこれからモーニング娘。のコンサートを見る上でも、違う視点、もしくは視点を広げる一助になったのではないかなと思います。
あ、ちなみに舞台挨拶で「宝塚見に来て下さい。男性トイレは空いてます」みたいな事を言っていましたが、本当に空いてます(笑)。娘。コンサートのあの大名行列に慣れた人が宝塚に行ったら、そのあまりにもスムーズな入り口への出入りに感動して泣いてしまうかもしれません(笑)。逆に女性トイレが大名行列になってます。
・手拍子
その箙さん独唱の後にライブがありました。その時のファンのみんなの「手拍子」がとても印象的でした。
大きくて、揃っていて、今まで聞いたことのないような綺麗な響きの手拍子。
特に、千秋楽、最後のライブでは、その手拍子に鳥肌が立つくらいでした。まるで刀で一刀両断するような「スパァン!」という音は、それがもはや手拍子とは思えないくらい。あんな手拍子、後にも先にもあそこでしか聞けなかったかもしれない。
箙さんが挨拶で「宝塚にも皆さんのパワーが欲しい!」って言っていたけど、そのパワーが余すところなく出ていたのがあの手拍子だったような気がします。あのミュージカルの、新宿コマの中の熱い空気は、ステージにいる人々と、ステージを見ている人々が共に作り上げたものだったのだろう、と思います。